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2009年5月第一子出産。主婦のような感じで生活中。
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2009/08/22 (Sat)

「バルサの食卓」
上橋菜穂子・チーム北海道 新潮文庫


紹介する順番を間違っているのは重々承知なんですが・・・。
上橋菜穂子作品に登場する料理の作り方を綴った、衝撃のレシピ本。
上橋菜穂子ファンの心を、ここまで解ってくれていたんだね!と、編集者に拍手喝采な企画で、褒めた絶えずにいられません。
物語にどっぷり浸かってしまうと、人は、よりその世界を体感したい、と願うのは常で、実在の場所が舞台ならば、そこへ行ってみたくなるし、何か象徴的なアイテムが登場すれば、それを手にしてみたくなるのは自然な事なのです。
そうした人々のため、物語系のレシピ本というのはけっこう出版されておりまして、ざっと今思いつくところでも、「大草原の小さな料理の本」、「ムーミンママの料理の本」、「プーさんの料理読本」などなど・・・。
これまで、“登場する食べ物の描写がやけに旨そう”と定評のあった上橋作品なので、それを食べてみたいと思った読者は少なくなかったはず。
とは言え、まさかこれが実現すると思っていた読者はきっととても少ないのです。

そもそも、上橋作品は所謂ハイファンタジーで、実際には存在しない世界の物語。
だから登場する料理も、その多くは、架空の素材を架空の調味料で味付けした、架空の料理。
上述した中では、ご存知の「ムーミン」も架空の世界の物語な訳ですが、料理本で紹介しているレシピは、ムーミン本編に実際に登場した物という訳ではなく、ムーミンの物語をイメージした、おそらくは北欧の家庭料理。
なので、こちらは実在する素材で作ればいいのですが(とは言え、日本ではまず売ってないような材料目白押しなんだけど、その話は今は置いておいて)。

例えば、「闇の守り人」に登場する、こんな描写。
ちょっと歩くと、ぷうん、といい匂いがただよって来た。ロッソを揚げている匂いだ。ロッソは、ガシャ(芋)をすりおろして、うすくのばした生地にラ(ヤギ乳のバター)をたっぷり練り込んで、その中に様々な具を入れて揚げたものだ。
「ロッソ」はもちろん、「ガシャ」なんて芋も存在しないし、ヤギ乳のバターだと解説されたところで、「ラ」なるものだって、読んでるこっちは当然食べた事もないのです。
にも関わらず、なんとなくありそうと言うか、響きがそれっぽく、「ラ」というのはさぞかし濃厚な、香り高いバターなんだろうな・・・とか、「ガシャ」というのは食べごたえのある、もったりした食感の芋なんだろうな・・・とか、イメージできてしまう。
なんだかやけに旨そうだ。これは旨いに違いない!食べてみたい!・・・だがしかし存在しない!!!
この本は、そんなジレンマをかかえ続けた、我々食いしん坊読者に聞こえた福音。
例え紹介されたレシピの材料が「ガシャ」や「ラ」でなく、里芋とバターであっても、上橋菜穂子さん本人が「これがロッソですよ」と、オフィシャルに提示してさえくれれば、これはロッソなのです。

編集者がこの企画を言い出した時には、上橋さん本人ですら「無理だって」と思ったというトンデモ企画。
各料理ごとに、上橋菜穂子さんのちょっとしたエッセイのようなものも挿入され、すべての料理が写真付きという豪勢な仕上がりです。
その写真がまた、物語を読んで踊っていた心を裏切らぬ、美味しそうな写真。
多忙につき、まだ実際に料理してみてはいないんですが、そこが説得力に欠ける事は重々承知で、それでも大満足の一冊なのです。


ところで、冒頭に「紹介する順番を間違ってる」とつぶやきましたが、今までに一度も上橋作品の紹介をしてないんだよね。
落ち着いてちゃんと書こうと思えば思う程、なかなか書けないわけで。
でも、先日でた新作も読了しまして、とりあえず近いうちに「獣の奏者」の事からでも、つぶやいて行こうかと思ってます。はい。
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