SUNNYDAY KETCHUPブログ 忍者ブログ
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ひか
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女性
自己紹介:
2009年5月第一子出産。主婦のような感じで生活中。
最近またちょっと真面目にイラストとか描いてます。
ブログはほとんど放置ですが、最近ツイッターはそれなりに活用しておるので、こちら↓で生存の確認をして下さい。
ついったー。
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2024/03/29 (Fri)
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2007/09/29 (Sat)
天気が良かったので何気なく散歩に出た。
行くあてもなく、ただぶらっと歩いてくるような、ありきたりの散歩だ。
そうしてたどりついたのはあの店だった。
今更ここへ来ることになるなんて思ってもみなかったから、僕はちょっとためらって、それでもやっぱりドアを開けた。
目の前のカウンターは無人だった。
見ると、ユリさんが座っている。こないだと同じ、一番端の席だった。
僕に気づいたユリさんは、笑顔で僕を手招きする。僕はユリさんのすぐ隣へと腰をおろした。
—彼は?
—さあ。ここにはいないわ。
大して興味がないみたいに、ユリさんはさらっと答える。でも僕は気になって仕方ない。
ユリさんの手元にあるのはまたあの飲み物。グラスの半分くらいまで減っていた。
—飲む?
いつかと同じ聞き方で、ユリさんは僕にそれを勧める。僕はただなんとなく受
け取って、なんとなく一口飲んだ。
おいしいとも、まずいとも思わない。ただ、なんとなく涙が出た。
—彼は?
僕はもう一度聞いた。ユリさんは無言で首を横にふった。
コーヒーが飲みたい。
僕はゆっくりと立ち上がって、ドアの外へ出ようと思った。
不意に、ユリさんが声をかける。
—靴の紐がほどけているわ。
足元を見ると、なるほど、右足の靴の紐がだらしなく床へと伸びている。でも僕はそれを結ぶ事はせず、ユリさんに会釈してから、店のドアを開けた。

その空き地は本当に広くて
だから僕は歩き出せなかった
彼方を見ながら歌っていたから
隣の君を知らなかった


紐を結ぶ気になるには、もう少しかかりそうだった。
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